こんにちでは、数十年前に比べ管理職の方々には、さまざまなスキルが求められるようになってきています。そして、企業において「働きやすい職場」が実現できるか否かは、管理職のスキルに掛かっているといっても過言ではないかもしれません。例えば、労働法に関する基礎的知識の習得、セクハラ・パワハラに対する基礎的知識の習得、メンタルヘルスに関する基礎的知識の習得、部下の方々とのコミュニケーション能力、部下の方々のヤル気を出す叱責の方法(逆にいいますと、部下の方々のヤル気を削がない叱責の方法)などが求められている時代です。
このような状況において、管理職のスキルアップのためには、管理職の方々に対する定期的な研修が必要となってきています。そして、このような研修は、単にリスク回避のためだけではなく、企業の生産性を向上させるためにも必要です。
ケーススタディ
女性の従業員が多い企業で「セクハラ」に関する管理職研修を行いました。
この企業では、従業員数が200人近くいるため、どこでどのようなことが起こっているのか、個々の管理職が全て把握できない状況になっています。こうした状況の下で、セクハラに関するアンケートを実施することになり、アンケート実施前にセクハラ問題の対処方法を管理職の皆様に知っていただくために、研修を実施しました。
研修に参加された管理職の方の中には、セクハラのアンケートを実施することに否定的な考え(こんな問題を取り上げることによって、かえってコミュニケーションが難しくなるといったもの)をお持ちの方もいらっしゃいましたが、管理職の研修を行うことによって、実際に従業員の方からセクハラの申告があった場合の初期の対処方法を身に付けていただくことができました。また、アンケートの結果、従業員の方からは、会社がこうした問題に取り組む姿勢があることを理解していただけた上に、はっきりではないにせよ、問題の火種があることが判明したので、企業側が具体的にどのような方策を講じるべきかを考えるきっかけとなりました。
ある程度の規模(従業員100人以上くらいの規模)の企業では、企業側が会社で起こっている、あるいは起こりつつある事象を全て把握することは困難です。こ のような規模の会社では、セクハラやパワハラの問題を未然に防ぐために、定期的にアンケート調査をすることが有効といえます。